「陸王」
著:池井戸潤
【崖っぷちに立たされた足袋屋が起死回生の新規事業に挑む!】
あらすじ
創業100年続く老舗足袋屋「こはぜ屋」に最大の危機が迫る!
年々落ち込む業績に頭を抱えていた社長の宮沢は、起死回生の新規事業に挑む。総勢20名の弱小企業に次々と難問が降りかかるが、こはぜ屋は落ちこむ業績を回復させることができるのか・・・
総評
現在、役所広司さん主演で放送中のドラマ「陸王」の原作小説を読みました。
池井戸さんのいつもの大どんでん返しは健在で、マラソンと新規事業推進、社長息子である大地の就活など、手に汗握る展開が目白押しでした。
特に主人公の宮沢社長の諦めない心は素晴らしいです。何度も倒産の危機に陥るのですが、そこから覚悟を決めて決断する場面は何度読んでも胸が熱くなります。覚悟を決めるまでは結構うじうじ悩んでたりするのですが、そこも人間くさくてリアリティがあり、良いのではないでしょうか。
また、宮沢社長の周りにいる様々な協力者達も忘れてはいけません。宮沢社長が多くの人達と、時には衝突しつつも助け合って前に進むシーンを読んで、ビジネスって色んな人達との繋がりによって生まれているんだなあと実感できました。
ただ、ちょっと出来すぎ感も否めないところが残念でした・・・
ライバル会社もいつも通り、良い意味でゲスいです。ドラマではピエール瀧さん、小籔千豊さんがキャスティングされているのですが、演技がうますぎて感動します。
今回はマラソンシューズ開発が題材となっていることもあり、マラソン選手の方々がいつもどういった心境で1レース1レース臨んでいるのかや、怪我の怖さが細かく描写されていたのも良かったです。普段あまり知ることができませんからね。あと、ちゃっかり青山学院大学の監督が出て吹きました(笑)
万人受けする作品ですので、皆さん是非読んでみてください。特に、これから起業される方や新規事業を起こされる方、就職活動中の方は本作品を読むことで、必ず勇気をもらえると思いますので、ぜひ一読してみてください。
また、足袋のことがわからなくても、池井戸さんのいつものごとく全然問題なく読めますので、ご心配なく。
ドラマの方も、本とは一部ストーリーが変わっていますので、本を読んだ方でも楽しめる作品になっていますので、もしお時間ありましたら、ドラマも見てみて下さい。