OUTPUT WORLD

読んだ本、体験した事、自分の考えについてつらつらと書いていきます。皆さんの何かの手助けになれば幸いです。

「下町ロケット2 ガウディ計画」感想

下町ロケット2 ガウディ計画
著:池井戸潤

【大勢の子供たちのために,あの技術者達が再び大きな壁に立ち向かう】

下町ロケットシリーズ第2弾!あの技術者たちが帰ってきました。今度は医療の世界に殴り込みます。ドラマ化もされたガウディ計画編です。

 

あらすじ

その部品があるから救われる命がある。
ロケットから人体へ――。佃製作所の新たな挑戦!

ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年――。
佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。

量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。


そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は・・・・・・。

 

医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった。

 

前回は夢をメインとしていましたが、今回は「何のために、誰のために」に重きを置いていると読んでいて感じました。自分の作ったものが何のために、誰に使われるのか・・・目の前の仕事をこなすのに一生懸命になっているとどうしても忘れがちなところに、池井戸先生がスポットライトを当ててくださいました。


何のために、誰のために使われるものなのか意識しながらモノづくりができれば、夢とはまた違ったやりがいが生まれてくるのではないでしょうか。今回は子供が関係してくるということもあり、涙腺の緩い私は、もう目から大洪水でした。

 

加えて,ロケットの技術から医療の技術への転用に関する内容はなるほど、と思わずうなってしまうところが多々ありました。どこからそういうアイディアが生まれてくるのか、今後の仕事の参考にぜひ発想法を聴いてみたいものです。

 

医療が絡むこともあり、新しい人たちが多く出てきましたが、1から出ている人たちも負けていません。特に財前部長はやばいです。かっこよすぎました。何がかっこよかったのかはぜひ本、もしくはドラマでご覧ください。もちろん、新しい人たちもかっこよかったですよ!立花さん、加納さん、一村先生、桜田さん、多くの人たちが子供たちのために頑張り続けていました。

 

そんな立花さんから発された言葉が私の胸を一番震わせました。

 

「うちのグループは小さい会社ばかりかも知れません。ですが、このガウディは、大勢の子供たちが、完成し、臨床で使われる日を待っているんです。命の尊さを。会社の大小ではかることができるでしょうか。私はできないと思う。どんな会社であろうと、人の命を守るために、ひたむきに誠実に、そして強い意志をもって作ったものであれば、会社の規模などという尺度でなく、その製品が本当に優れているのかどうかという、少なくとも本質的な議論で測られるべきです」

一生懸命やっている仕事にどちらが上か下かなんてありません。すべて誰かのために必要で大切なものなんです。だから、私たちはつらくても大変でも、日々がんばることができるんです。そんな当たり前のことを改めて思い出させてくれる本当の名作です。

この感想を読んでくださったあなたも一緒に、今一度その仕事は何のために、誰のために頑張っているのか考えてみませんか?